暑中お見舞い
 暑中お見舞い申し上げます。と言っても関東地方は未だ夏らしい青空が見られませんね。
今週は受講日がなく予備週となっておりますので、素焼きや酸化焼成をしたり、普段なかなか行き届かない箇所を掃除したりしております。また明日と明後日は、私たちスタッフの出身校であります、京都伝統工芸専門学校の東京説明会のお手伝いに、三人で西新宿まで遠征に行きます。懐かしい恩師や職員の方にお会いできる喜びと、陶芸を本格的に勉強しようかどうしようかと考えていらっしゃる方、或いは数年前の自分たちと共通する悩みを持った方とも出会える二日間になりそうで、責任感をひしと感じるとともに、とても楽しみでもあります。この二年弱というわずかな間に、陶芸教室で素敵な出会いがたくさんあったことだけでも、誰かに伝えられたらいいな、と思っています。
 ではまた来週。
【2006/07/28 21:34 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
懐石~煮物椀のあと
 以前茶事の煮物椀についてご説明しました。煮物椀のあとには焼物(魚を焼いたものが多い)、預け鉢(あずけばち。強肴=しいざかな、とも言います。炊き合わせ、和え物、酢の物など)、箸洗い(はしあらい。薄味の吸い物)、湯の子(白飯のおこげを湯漬けにしたもの)、香の物(つけもの)、八寸(はっすん=海産物と山のもの=野菜など、を一品ずつ人数分載せた酒肴盆)が出ます。今回の茶事では、焼物は鯛に塩をして焼いただけ、箸洗いは熱湯に生姜を一切れ入れただけ、湯の子はおこげがないのであられを砕いて熱湯に入れただけ、預け鉢、香の物、八寸はスーパーのお惣菜コーナーで買って盛っただけです。また主菓子(おもがし。懐石の最後に食べる生菓子)も当日購入したものを使いました。手を抜いたわけでは決してないのですが、当日熱いものは熱く、冷たいものは冷たく出すという茶事の鉄則を守るためには、どうしても全ての料理を手作りでたった一人で供すには、私のような初心者には限界があるので、とりあえず汁と向付と煮物碗と焼物に神経を集中することにしました。いつか主菓子も含めて全ての料理を自分の手作りで出来たら良いなと思っています。
 こうして懐石を客に召し上がって頂いた後、風炉の時季(5月~10月)なら炭点前をしてから濃茶、薄茶点前、炉の時季(11月~4月)なら懐石の前に炭点前をして茶室を暖め、濃茶、薄茶を供します。
 季節によって懐石の料理も変わり、炭点前をするタイミングも違ってきます。いずれにしましても茶の湯の本来の目的は茶事であり、茶事には懐石がつきものですので、料理や器についての知識も必要になるわけです。
 初級・中級コースでは抹茶碗を作って頂く課題があります。完成した抹茶碗で薄茶を一服召し上がって頂くお茶会もしておりますので、是非お楽しみに!
【2006/07/21 16:32 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
初級・中級コース第2週目
今回はやきものが出来上がるまでの工程をご説明致します。

 まずはじめにやきものを形成している素材ですが、陶器や磁器(前回のやきものの種類をご参照下さい)はほとんどのものが、粘土と釉薬で形成されています。磁器の場合、石を粘土状にして成形しますがいずれにしましても、粘土の素地(きじ=ボディー)の上に釉薬をコーティングした状態がやきものの一般的な状態です。

 粘土は本来、山から掘って来たりして使います。九州地方の唐津焼や有田焼、中国地方の萩焼や備前焼(これは器=せっきです)、東海地方の美濃焼や瀬戸焼などが窯業地(ようぎょうち=やきものを生業にしている地域)として成り立っているのは、もともとそこでやきものに適した粘土が採れたからです。地中などから採取してきたばかりの粘土は、石ころや雑物が多く混じっていますので、それらを取り除いたりして扱いやすくしてから使います。現代では交通機関も発達し、陶芸材料を専門に扱う業者さんも増えましたので、横浜のような陶芸に適した粘土が採れない所でも、日本各地の粘土を取り寄せて陶芸を楽しむことが出来る訳です。釉薬も同様に様々な種類のものが容易に手に入ります。

 こうして入手した粘土を成形するのですが、陶芸には様々な技法があります。手びねりというのは、まさに手だけで(竹べらなどの道具も使います)形を作っていく技法です。小さなものから大きなものまで、丸いものから四角いもの、複雑な形まで作ることが出来ます。
 これに対してロクロ(轆轤)を使って作品を作ると、完全な円形の器を作ることが出来ます。手びねりでは若干の指跡や形状にゆがみが生じやすく、逆にそれが個性にもなるのですが、ロクロを使えば均一な厚みとゆがみのない正確な形状が、短時間にたくさん作れます。しかし工業製品的な個性のない作品になりやすく、また円形以外の形状を作るには不向きであるという面もあります。更にロクロの技術を身につけるのには多少の修練が必要です。
 これらの他にタタラ作りという手法があります。これは、粘土の塊の両側に同じ厚みに加工した板(タタラ板)を同じ枚数置いて、板の上を糸などで引くと、粘土の塊が板の厚みにスライスされ、均一な厚みの粘土の板が出来上がります。板皿などはこの技法で簡単に作ることができますし、この板状の粘土を筒状に丸め、底を付ければ湯呑や花入も作れます。適度な薄さのタタラ板を使えば、成形後の削りの作業を省略できますし、高度なロクロ技術がなくても背の高い筒状の作品を作ることが容易に出来ます。

 手びねり、ロクロでの成形後は次に削りをします。カキベラやカンナを使って、作品の高台(器の底の部分)を削り出したり、作品自体を更に薄手にすることが出来ます。この削りの作業をしやすくするために成形後、作品を半乾きにします。乾燥は粘土に含まれている水分が蒸発するわけですが、それに伴って作品が若干収縮します。この後の工程で幾度も水分が蒸発して、最終的に完成した時には成形時より13%前後小さくなりますので、成形の際の注意点として、完成時の予定の大きさよりも大きく作る必要があるということです。これは手びねり、ロクロ、タタラ作りのどの技法でも共通する事柄です(収縮率はそれぞれ若干異なります)。

 削り作業後、作品を完全に乾燥させてから素焼きします。最高温度は800℃前後です。作品に水分が残っていたり、半乾きのまま素焼きすると、急激な乾燥によって作品が割れてしまいます。この素焼きをする理由は、この後の釉掛けのためで、完全に乾燥させた作品に直接釉掛けすると、素地が水分を吸収し過ぎて壊れてしまうからです。ちなみに完全に乾燥させた作品でも水分を加えて練り、数週間寝かせると元のような粘土に戻ります。

 次に釉掛けをしますが、鉄絵や染付を施す場合は先に絵付けをします。志野焼、織部焼、唐津焼などがそうで、釉薬の下に絵が描いてあるので下絵付けと呼びます。

 釉薬の主成分は大きく分類すると鉱物系と植物系の二種類があります。志野焼の白い釉薬は長石(ちょうせき)と呼ばれる石の一種です。植物系には木灰(もくばい)などがありますが、植物を焼いた後の灰を釉薬として使用します。灰というともうそれ以上価値のない、物質の残骸のようなイメージがありますが、実はガラス質の成分が含まれているのです。植物系の釉薬で最も特徴的なものがわら灰で、これはわらの成分に多量の珪石(けいせき)という石の一種が含まれているからですが、稲という植物はたくさんの米が実ってもその細い茎が折れないように、田んぼの泥の中に含まれる珪石を吸収して、茎を強化しようとする性質があります。そのためわら灰は植物系の釉薬でありながら、鉱物系の白濁した発色が特徴です。
 釉薬を素地に付着させる一般的な手法は、ずぶ掛けと呼ばれる、釉薬を水に溶いたものの中に、素焼きした素地を数秒間浸けるものです。こうすると短時間で作品全体に均一に釉掛けすることが可能ですが、大きな作品の場合、それ全体が浸かるだけの器と大量の釉薬が必要になります。

 最後に本焼きをします。最高温度は1230℃前後で、一般的なやきものなら半日で焼いて、その後数日かけて冷ましてから窯出しします。但し志野焼の場合は、教室では四日間かけて焼いています。
 つまり陶芸は素焼きと本焼きの二度、窯で焼成するわけですが、焼くことで作品は更に収縮しますし、急激な温度変化をすると作品が割れるために、焼成の温度上昇には細心の注意が必要です。

 こうして陶芸の作品が完成します。成形から完成まで早くても1ヵ月、焼き方によってはそれ以上日数がかかります。また初めのうちは成形している時に、作品の完成イメージがさっぱり分からないということもあるでしょう。成形の時よりも小さくなりますし、粘土の色も作っている時とはまるで違う色に焼き上がりますので、いたしかたのないことだと思います。いくつも作品を作って、完成した作品を手に取った時、それまでの成形や削り、釉掛けといった作業を思い返して、陶芸の工程を少しずつ理解することで、次第にコツをつかんで頂けるのでは、と思います。
【2006/07/14 17:31 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
初級・中級コーススタートです!
今月から初級・中級コースがスタートしました。
初回は陶芸の基本的なお話をさせて頂きましたが、ここでもう一度復習したいと思います。

 一般に「やきもの」と呼ばれているものは大きく四種類に分類できます。

 まず一つ目は陶器で、唐津焼、美濃焼(志野焼、織部焼、黄瀬戸など)、萩焼など日本の多くのやきものが陶器です。特に茶陶(お茶道具のやきもの)にはよく用いられます。一番の特徴は吸水性があるということで、器に釉薬(ゆうやく)というガラス質のコーティングをするのは、ひとつには吸水性を抑えるためでもあります。この吸水性についてはこの教室通信に以前書いたもの(続・抹茶碗の重さ)がありますので、そちらも是非ご参照下さい。

 二つ目は磁器で、有田焼や洋食器など白い地肌が特徴です。指ではじくと高い金属音がして、薄手のコーヒーカップなどは光がうっすら透けて見えます(透光性があると言います)。陶器とは違って吸水性はありません。一方、陶器には透光性はありません。

 三つ目は普段あまり耳にすることがない言葉だと思いますが、器(せっき)と言います。これはいわゆる石器とは別物で、具体的には備前焼などがその代表的なやきものです。これは釉薬をかけずに焼く、焼き締めと呼ばれるもので、吸水性も透光性もありません。器の場合、特に備前焼などは初めから粘土の中に釉薬のような成分が含まれているとお考え頂いて間違いありません。つまり釉薬をかける必要がないということと、逆に釉薬をかけてしまうと熱湯などを入れた時に、粘土と釉薬の膨張率の関係でパンッと割れてしまうことがあります。

 四つ目は土器です。現代の生活においてはほとんど使うことがないように思われますが、ホウラクなどは土器の仲間です。粘土自体は陶器とほぼ同じものですが焼き方が違い、陶器の場合は最高温度1,230度前後で焼き上げますが、土器の場合は800度前後までしか上げません(これを低火度焼成と言います)。この焼き方によって粘土が焼き締らず、断熱性に優れた性質になるわけです。但し吸水性は陶器以上にありますので、食器などには不向きです。

 以上のように「やきもの」にも色々な種類があり、更にその中にも粘土や釉薬の違いによって非常に多種多様な分類が出来るわけです。
 初級・中級コースでは主に日本の伝統的な技法と粘土を使って、陶芸の基本的な技術と知識を身につけて頂ければと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
【2006/07/07 18:08 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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