ソウムメイト2017”啐啄同時”

2008/04/04 [Fri]

国宝、重文の波状攻撃!PartⅠ~京都千年の底力

 横浜ではあまり強い風や雨もなく、桜が一週間満開のままでもってくれました。おかげさまで山手公園の花見もできて、春を充分満喫しました。

 さて先日の日曜日、京都美術倶楽部の創立百周年記念の催しに行ってきました。

 京都美術倶楽部は祇園の近くにあり、八坂さんの北西、東大路通りから少し入った所にひっそりと佇んでいます。先週末から三日間、おそらく全国から数寄者(すきしゃ:すきもの、とも読みますが、スケベな人たちのことではなく、芸道に執心な人物の俗称で、現代では、本業とは別に茶の湯に熱心な人物、特に多くの茶道具を所有する人物として用いられます)が多数集結したと思われます。私は昼頃到着したのですが、まずは濃茶席の寄付(よりつき:お茶を飲む本席に入る前にある席)に飾られてある茶道具を拝見、担当の男性(皆さん着物姿で、茶道具屋さんと思われます)から丁寧に詳しく説明して頂き、手にとって見ることもできました。長次郎作の灰器、重要美術品に指定されている茶碗・毛利井戸、利休作の茶杓…。さすが美術倶楽部、東西問わず太っ腹で、感激のうちに濃茶を頂き、点心席で昼食をとりました。

 この催しは入場料と言いますか、前売券を買っておかないと参加できないもので、決して安くないお金を支払って行ったのですが、昼食も大変美味で、お酒も飲み放題でした(もちろん私は茶道具を観ることに集中するため、全く頂きませんでした。ちょっと残念)。

 腹ごしらえをしてから薄茶席へ。ここでもいくつか手にとって拝見しました。宗入(樂五代目)黒茶碗、御本半使(はんす)内刷毛目茶碗、仁清青海波茶碗…。う~ん、来て良かった!

 そして最後に、今回の百周年記念のために集められた茶道具類を一同に展示した本会場へ。その部屋は大変広く、壁に掛軸類が、中央にロの字形に腰ほどの高さの台を設け、水指や茶碗がずらりと並べられていました。

 古信楽水指「三夕」、伊賀水指「破袋」(これは重要文化財ではない、もう一つのほう)など、名品揃いで唸りながら進んでいくと、茶碗がずらりと並んだエリアへ。

 志野練り込み茶碗「猛虎」、本阿弥光悦作「加賀光悦」、長次郎作「禿(かむろ)」、同「白鷺」…。一流美術館の企画展を凌駕するラインナップに思わず息をのみました。しかもガラスケースには入っていなくて、手を伸ばせば触れられるほどの至近距離に。もちろん「お手を触れないように」という札が要所要所に置いてありますが、恐れ多くて誰もそんなことできるわけがありません。

 しばらく順を追って拝見していると、楽しげに道具をご覧になっている年配の紳士三人組が私の後方にいらっしゃることに気がつきました。

 私が志野練り込み茶碗「猛虎」を過ぎた時、その三人組のお一人が、おもむろに「猛虎」を掴み上げたのです。しかも片手で。ひょいとひっくり返して高台を見、メガネをはずしてさらに顔を近づけて凝視し、緋色が出ているところをメガネの柄でさし示し、お仲間と談笑…。

 私はもう唖然としてその光景に凍りついていると、そばから茶道具屋さんがその三人組に近づいてきました。しかし茶道具屋さんはその紳士を咎めるどころか、和気あいあい、話が弾んでいる様子。

 この方々は一体何者っ?!と驚愕しつつも、ひょっとすると、「お手を触れないように」という札は、一種のけん制で、お願いすれば誰でも触れられるのかもしれないと思い、これは千載一遇のチャンスとばかり、私は素早くその三人組の後方に回り込み、紳士が散々もてあそんで無造作に手放した「猛虎」に近づき、念のため茶道具屋さんに「手にとって見ても良いですか?」とお訊ねしました。

 茶道具屋さんがにこやかな笑顔で「どうかご遠慮下さい」と、優しい口調の中にもきっぱりと拒絶したのは言うまでもありません。

 私が身の程知らずだった羞恥心と、ご馳走を前にオアズケをくった犬の如く落胆にくれて立ち尽す中、その三人組は次から次へと名碗を手玉に取って、風のように人混みに消えていったのでした。

 名品の数々よりも、そのような三人組が京都には一体どれくらいいらっしゃるのか、そら恐ろしくなった一日でした。
これは山手公園ではなく、根岸森林公園。お花見客の車でウチの前の道路はUターンラッシュ。

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