ソウムメイト2017”啐啄同時”

2008/07/18 [Fri]

それぞれの茶の道

 6月に京都のお茶会に行った時、母の友人のOさんと初めてご一緒しました。Oさんは母と同年代で、流派こそ違いますが長年お茶をたしなんでおられ、柔らかい物腰の中にも凛とした姿勢が感じられる、清々しい印象の方でした。

 母が所用で席を外した時に、そのOさんが興味深いお話を私にして下さいました。

 Oさんの茶道の先生はもうお亡くなりになったのですが、お若い頃は京都の家元へも稽古にいらっしゃっるほど熱心な方で、当時のお家元にも大変可愛がられたのだそうです。

 お家元は稽古の時でもお茶会の時でも、その先生を見つけるとお声を掛けて下さり、時には優先的に図って下さることもあったそうですが、次第にその先生の胸中に、一つの疑念というか、腑に落ちない想いが芽生えてきたのだそうです。

 それは、本来茶の湯の世界では、誰かだけが贔屓(ひいき)をされたり、役得があってはいけないのでは…、という想いだったのだそうです。

 これは正客とその連客との違い、例えば「賓主歴然(ひんじゅれきねん)」というような席中のことではなく、人間は本来平等であるべきという根本的なことです。

 その先生は弟子に対しても非常に厳しく、Oさんも稽古の時に「もう来なくていい」と言われたこともあるそうで、先生ご自身も自分に対するお家元の配慮に、厳し過ぎるほどの自戒を持って接しておられたようです。

 結局その先生は京都のお家元の稽古に行くことをお辞めになり、流派の会合などにもその後一切出席せず、それでも茶道の先生として気概を持って余生を過ごされたそうです。

 Oさんが私にして下さったこのお話は、私の中でとても大切なお守りの一つになったような気がします。これはもちろん流派や家元への批判では全くなく、むしろその重要性と、さらにそれらを踏まえながらも尚、なにものにも捉われない自由な境地を指し示してくれているように思えてならないのです。
さらばトルネード

この記事へのコメント

茶道はおくが深いんですね。
うちは、最近、大学の茶道サークルに入りました。
まだまだ、勉強中です。
陶芸の先生なんですね。凄いです(^O^)
自分の思ったものを形に出来るなんて素敵ですね(*^_^*)

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チカ様。

コメントありがとうございます。茶道楽しんでいらっしゃいますか?本当に奥が深くて知らないことが沢山あって、それもまた茶道の楽しさのひとつですね。
 日本の伝統的なやきものは、ほとんどと言っていいほど茶道の影響を受けています。日本人独特の美意識によって何百年と受け継がれてきたやきもの、そして茶道。次の世代に伝えていく使命感もひしひしと感じています。

うちは、まだまだ茶道はよく分かりません (-.-;)
学校のサークルはお茶の先生が教えてるんじゃないんですよ。
茶道の歴史を研究していた先輩が始められたサークルでみんなで和菓子食べながら御抹茶飲んで楽しくやってます。
会所式の喫茶をイメージしているとか先輩が言ってました。

チカ様。その2

 会所式の喫茶でお茶をされているのですね。歴史的には「わび」「さび」以前の、雅で公家文化が濃厚に残る式法といったところでしょうか。とても熱心な先輩がいらっしゃって幸せですね。茶道は人との出会いもまた大切だと思います。
 ほんの小さなことでも、楽しいと感じることをたくさん見つけることができたら良いと思います。陰ながら応援しています。

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