朝夕は随分過ごしやすくなりました。ここにきて台風が近づいているようですのでどうかご注意下さい。それから残暑見舞いのお葉書や久しぶりのメールを下さった方々にこの場を借りてお礼申し上げます。楽しい思い出ばかりで私も幸せを感じています。いつかまたお会いできる日を願っております。
 さて、初級・中級コースの皆様は三ヶ月が経過しました。手びねり、タタラ作り、電動ロクロと少しずつ難易度が上がってまいりますが、10月は志野茶碗を作りますので、簡単に志野焼についてご説明したいと思います。
 まず粘土ですが、一般的には五斗蒔土(ごとまきつち)というものを使います。五斗蒔というのは現在の岐阜県土岐市近郊の地名から由来するのですが、キメが荒い感じの粘土です。陶芸では「ざんぐりとした」という表現をよく使いますが、ガサッとした肌触りの焼き上がりになります。桃山時代の志野焼はこの種の土以外にもキメの細かい粘土を用いたりしているので、おそらく窯の近くで採れる粘土は片っ端から焼いてみたのではないでしょうか。現在まで伝世している名品といわれるものも、初期の頃はテストも兼ねて試しに焼いたものだったのかもしれません。近・現代の陶芸家や窯元も志野焼には基本的に五斗蒔土を使いますが、様々な粘土を用いて個性を出したり、コストを抑えたりしているようです。五斗蒔土に限らず伝統的なやきものの粘土が減少しているのは、どこの窯業地でも抱えている問題です。陶芸家によっては山を所有していてそこから採れる粘土を使用したり、粘土の採掘業者さんと契約して仕入れたりしているようです。教室では業者さんますが、削りかすなども再生して使っています。
 それから焼成についてですが、教室では四日間かけて焼いています。通常、教室では酸化・還元焼成(のちほど説明します)ともに丸一日で焼き上げますが、志野焼が何故他のやきものよりも時間をかけて焼くのかと申しますと、釉薬に使われている主成分の長石が融けにくいということと、冷ます時間をより長くしたほうが志野焼の特徴である緋色が出やすいためです。
 焼成はまず第一日目に900度前後まで温度を上げておきます。二日目は朝から夜まで12時間かけて950度から1230度まで還元焼成で温度を上げていきます。還元焼成というのは窯の中の酸素(空気)をできるだけ少なくする焼き方です。酸化焼成はその反対に窯に空気をたくさん入れて焼きます。三日目は1230度のまま酸化焼成に切り替え1050度まで下げ、四日目は1050度から900度まで下げて火を落とし、さらに二日ほどおいて窯の余熱がとれてから作品を窯出しします。窯元や陶芸家によって最高温度や焼成時間、また還元焼成から酸化焼成に切り替えるタイミングがかなり違います。他のやきものに比べて焼成が難しく、人間国宝の鈴木蔵さんは五日間焚いて五日間かけて冷ます焼き方をされているようです。
 長くなってきましたので今回はここまで。次回は伝世品や作家さんについてご説明したいと思います。
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