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茶の正月

 早いもので今年もあと二ヶ月を残すのみとなりました。十一月はお茶の世界では正月に当たり、春に摘んだ新茶を使い始める口切りや、炉開きといって半年振りに炉の点前になります。陰陽道でも十月に陰が極まり、十一月から陽に転ずるといわれていますが、太陽暦よりも太陰暦のほうが日本の伝統文化を理解する上で、季節感なども理解しやすいのではないかと思います。ちなみに日本では明治に入ってから太陽暦が取り入れられたのですが、歴史の教科書などに出てくる明治以前の出来事で「○月×日」と書かれていたら当然全て太陰暦ですのでご注意を。坂本龍馬が亡くなった十一月十五日(十四日の深夜に暗殺されたので資料によって表記が異なります)も勿論旧暦ですので、今で言うと一月三日前後だったことになります。風邪をひいて真綿の入った半纏(これをどんぶくと呼ぶのは東北地方でしょうか)を幾重にも着込んでいたために、刺客が乱入した時思うように身動きできなかったといわれていますが、太陽暦で考えれば納得です。

 話をお茶に戻して、この時季は気候がよいので各地でお茶会が盛んに開かれます。私も先週の土曜から週明け火曜日までの四日間で、大寄せの茶会と他流派の茶席とお茶事と三日間をお茶関係のスケジュールで過ごしました。その間にテニスを二回しましたので、足がもうクタクタです。

 大寄せの茶会では二席でお正客をさせて頂く機会に恵まれました。まだまだ勉強不足で赤面の至りですが、緊張感の中にもほんの少し楽しめるようになってきました。

 他流派のお茶席では次客をさせて頂きました。お正客以外は初心者ということでしたので、皆さんに細かい所作のことよりもいかに楽しいひとときを過ごして頂くかということや、お正客との連携などについて色々勉強になるひとときでした。

 お茶事はいつものメンバーで、今回三回目にしてようやくお客になることができました。前二回は亭主と半東だったのですが、正客をさせて頂いたおかげで初めて席の雰囲気を知ることができました。亭主は襖を閉めたそのうしろで、席の流れを客の会話や衣擦れの音など、耳だけで判断して行動する場面が多いのですが、意外に客は要所要所で襖のうしろに居る亭主に、無言の合図を送っているのだと知りました。今は回を重ねるにつれ、茶事の本当の楽しみが分かってくるような期待感があります。次回は初釜で再び亭主に挑戦です。

 それぞれスタイルも楽しみ方も違う茶席でしたが、共通する楽しみの一つとして道具組(どうぐぐみ)があります(やっと陶芸の話に持ち込んだ!)。

 道具組というのは、掛軸、花入、香合に始まって、茶碗や茛盆に至るまでどういう茶道具を取り合わせて使うかということで、茶会の季節や趣向(テーマ)によって亭主が思考を巡らせるところとなります。

 道具組では基本的な約束事のようなものがいくつかあります。様々な茶道具の中で陶磁器が占める割合は他の工芸のものより多いのですが、例えば同じ種類のやきものを重複させないで使うということがあります。水指も茶碗も同じ織部焼などというのは、やってはいけないという決まりはありませんが、あまりやりません。特殊な趣向であればありうることとは思いますが、同じ種類のやきものでは変化が乏しく、亭主のセンスが疑われます。しかし皆具(かいぐ)となると話は別です。皆具というのは水指、杓立、建水、蓋置の四つが同じやきものの揃いで作られたもののことで、一般的には磁器のものが多く、台子(畳半畳ほどの棚)や長板(台子から発展した畳半畳ほどの板)と取り合わせて使います。また重陽の節句(九月九日)に因んだ茶会では、同じやきものを二つ取り合わせて使う流派もあるようです。

 冬の寒い時季に使う道具、夏の暑い時季に好まれる道具などもあります。筒茶碗はお寿司屋さんの湯呑くらいの大きさで、真冬の二月頃使います。お茶が冷めにくいようにという亭主の心遣いが感じられますが、「くじあたり」という銘の筒茶碗が、初夏の祇園祭に因んで使われたという話を聞いたことがあります。七月に執り行われる京都祇園祭の山鉾(やまほこ=山車)の巡行の順番を決める、くじの入った筒に見立てた銘のようです。
 鶏の香合は、酉年の初釜や年末に使いますが、暁の茶事でもよく使われます。真冬の午前四時頃から始まる茶事で、朝の早い一番鶏に因んでのことですが、春先にも使われることがあります。これはこの時季に宮廷などで闘鶏の戯が行われたことに由来します。

 花入や水指、茶入、茶碗、蓋置、菓子器などに陶磁器の道具が多く、これらをみな違う種類のやきもので取り合わせ、その上、漆芸品、竹工芸品、金属工芸品などの諸道具があり、しかも前述のような特例もありで、茶会の道具組では亭主(席主)の力量が問われますし、客もまた亭主の趣向を汲み取る能力が要求されるわけです。亭主の趣向を客が自然に受け取る。これが茶会の楽しみでもあるのです。

 残念ながら私は全く持って勉強中で、まだまだこのような境地には程遠いのですが、とにかく多くの茶会に足を運んで経験を積むことが大切だと感じています。

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