ソウムメイト2017”啐啄同時”

2007/11/09 [Fri]

お茶会三昧

 11月は日本全国お茶会強化月間なのかと思うくらい、各地でお茶会が催されています。先週の土曜日は川崎大師のお茶会へ行って、四席まわって(つまり四杯のお抹茶と四個の和菓子を食べました。まだイケます。甘い物好きで良かった♪)、そのうち二席でお正客をさせて頂きました。近頃はだんだん図々しくなって、上手に正客できなくてもヘコタレなくなってしまったような気がします。良い意味で強く逞しくなっているのならよいのですが…。

 もう一つ、今週の火曜日、表千家同門会愛知県支部創立四十周年記念茶会の初日(三日間開催)に行ってきました。実家のツテでたまたま直前にキャンセルになったお茶券が入手でき、仕事も休みだったこともあって、いつものテニスはお休みして(優先順位=茶道>テニス)月曜夜に前のり、翌日早朝に車で実家を出発、犬山市の明治村に向かいました。
 明治村についてはHPがありますので、興味のある方はどうぞ。
 www.meijimura.com/

 聖ザビエル天主堂で午前10時より行われた而妙斎御家元奉仕献茶式を拝見させて頂き、その他三席すべてをまわることができました。女優の小林綾子さんが招待客として?いらっしゃっていて、とてもお美しくて驚きました(私にはあの「おしん」以来、浅黒くて丸顔の田舎娘というイメージしかなかったもので)。
 さらに感激したのは坐漁荘の濃茶席です。寄り付きとして、まず二階で茶道具の展示を拝見しました。茶道具商と思しき着物姿の男性がお二人、道具について説明して下さっており(というより道具の警護役)、由緒正しい道具の数々がずらりと並んだ一角に、ひときわ注目を集めている茶碗がありました。

 それは長次郎(樂初代)の黒茶碗でした。ガラスケース越しではなく、手を伸ばせば触れる場所に鎮座していました。たまたま別の茶道具商らしい、警護役の方の二周りは年長かと思われる人物が来て、気軽に手にとって見て、去っていったところだったので、これはチャンスとばかり、その警護役の方に「手にとって見ても良いですか」と恐る恐るお訊ねしたところ、たった今男性が手にとって見ていったばかりのため、断りにくかったのでしょう(むしろ私はその間合いを見計らって声をかけたのですが)、「ど、どうぞ」とためらい気味に、でもお許し下さいました。

 カセた肌と、しっかりとした手取り。三年程前に東京美術倶楽部で初めて手にした長次郎の赤茶碗と同様の手ごたえでした。もうこれだけでも新幹線でやって来た甲斐があったというものですが、更にもう一つ感動が待ち受けていました。

 長次郎の茶碗に触れることが出来て、天にも昇る気持ちで階段を下りて、一階の茶席に案内されました。30人ほど入れる茶席の入口で、案の定正客に祀り上げられそうになり、半東役の男性に脇をとられて、あたかも捕らえられた宇宙人状態で上座に連行されそうになったのですが、もう一人男性客がおられたので何とかその腕を振りほどいて逃亡、幸運にも次客の席にすべり込みました。

 茶席では正客が一番良い茶碗でお茶を頂くことができるのですが、そのかわり席主と色んなお話をして、場を盛り上げなくてはいけないのでとても大変です。なかには最初から最後までダンマリで済ます猛者も居ますが、やはり茶道を志す者としては、一通りの会話はしたいものです。私の場合は川崎大師の茶会で正客に座っても、愛知県支部の四十周年記念茶会という大舞台では、とてもとても恐れ多くてムリです(決してお大師様を軽んずるわけではありません。だってこの席主は愛知県支部の副支部長さんなんだもの…愛知県副支部長さん>お大師様=川崎大師のお茶会は私の師匠の社中の方々ばかり=知り合いが多くて少し気楽)。そんなわけで散歩中にむずかる大型犬のごとく、座敷中央で及び腰になりながら半東役にしょっ引かれそうになっていた私でしたが間一髪で助かり、しかも濃茶席なので正客と同じ、一番良い茶碗で頂けることになったのでした。

 前にもこの教室通信で説明したと思うのですが、濃茶は一般的な薄茶の3倍くらい濃い、ドロッとしたお抹茶です。しかも何人かで一つの茶碗で回し飲みするので、慣れていない方はきっとその間接キスに違和感を覚えることでしょう(慣れてしまった私には、正客の男性と間接キスだぁーっ、なんて感覚は全くありません。…なかったのですが…、今こうして文字にしているうちに若干気分が↓)

 お点前さんの膝前にあるうちから、その茶碗の黒ではない、茶色に近い色彩に釘付けになっていたのですが、凄い茶碗か、まったくもってどーでもいい茶碗かのどちらかだ、などと見当をつけたりしておりました(お軸も花入も元伯宗旦(げんぱくそうたん:利休の孫)だから、どーでもいい茶碗であるはずがないのに、二階で長次郎に触れた直後ですっかり酩酊していたものですから)。

 正客に手渡されて濃茶を頂き、再び拝見でその茶碗が回ってきたのを手にとってまじまじと見ても、自分の思いつく作者が浮かびませんでした。肌合いや形からして、ノンコウ(樂三代目・道入(どうにゅう)の愛称)でも一入(いちにゅう:樂四代目)でも宗入(そうにゅう:樂五代目)でもない、それ以降ならあまり興味がないし、他の道具との釣り合いからしてそれは考えにくい…などと思っているうちに、席主から「常慶です」と言われ、正客を始めその茶碗で濃茶を飲んだ者たちは絶句。まるでゲテモノ料理を食べた後に、初めてその食材を知らされたかのような(ちょっと違うか)、体が少し宙に浮くようなリアクションでした。

 常慶(じょうけい:樂二代目に相当するが諸説あり)にこれまで触れたこともなければ、ましてやそれに口をつけるようなことが人生において起こりうるとは夢にも思っておりませんでしたので感無量でした。恐るべし愛知県支部。

 記念品に八事窯の赤樂茶碗まで頂いて帰りの新幹線は飛び乗りました(夜、根岸のテニススクールがあったので)。夕方の時間帯だったためか指定席が取れず、デッキにしゃがんでお弁当を広げて夕飯にしましたが、わすが数時間前との落差が我ながら可笑しく感じられた一日でした。
聖ザビエル天主堂~愛知県犬山市の明治村にて

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